PEEK樹脂とは?特徴・耐熱性・用途を徹底解説

技術情報

PEEK樹脂とは

PEEK(ピーク)は、「PolyEtherEtherKetone(ポリエーテルエーテルケトン)」の略称です。
プラスチックの中でも最高レベルの性能を持つ「スーパーエンジニアリングプラスチック」の代表格として、世界中で広く採用されています。

PEEKは、アリール基・エーテル基・ケトン基が組み合わさった「PAEK(ポリアリールエーテルケトン)」というポリマー群の一種です。
1978年に英国ICI社(当時)によって開発されて以来、その圧倒的な信頼性から、過酷な環境下での金属代替材料として不動の地位を築いています。

PEEK樹脂の4つの大きな特徴

PEEKが「スーパーエンプラの王様」と呼ばれる理由は、以下の優れた物理的・化学的特性にあります。

1.圧倒的な耐熱性と熱安定性

熱可塑性樹脂として最高クラスの耐熱性を誇ります。

  • 融点: 343 °C
  • 連続使用温度: 260 °C
  • 高温時の剛性: フィラー(充填剤)強化グレードでは、荷重たわみ温度が 300 °Cを超えます。
  • 耐スチーム性: 高温水蒸気下でも加水分解しにくいため、医療機器のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)にも繰り返し耐えられます。

2.優れた耐薬品性

PEEKは、ほぼ全ての有機溶媒や化学薬品に対して高い耐性を示します。
高温環境下であってもその耐性は維持されますが、唯一、濃硫酸などの強酸には侵される性質があるため、使用環境の確認が必要です。

3.高い機械強度と耐摩耗性

広い温度範囲で高い強度と剛性を維持します。

  • 機械強度: 樹脂単体でも引張強度 約 100 MPaを誇りますが、炭素繊維などと複合化することで 200 〜 300 MPaまで高めることが可能です。
  • 耐疲労性・クリープ特性: 長期間の負荷に対しても変形しにくいため、摺動部品(ギアやベアリング)に適しています。

4.高い難燃性と安全性

燃えにくい性質を持っており、難燃剤を添加しなくてもUL94 V-0の規格を満たします。
また、燃焼時の発煙量や有毒ガスの発生が極めて少ないことも、航空機内装材などで重宝される理由です。

PEEK樹脂の主要スペック比較表

主要な特性値をまとめました。設計時の比較検討にご活用ください。

項目 単位 PEEK代表値 備考
融点 343 熱可塑性樹脂最高レベル
連続使用温度 260 UL746B
引張強度 MPa 100 非強化品
荷重たわみ温度 150 ~ 315 CF/GFにより向上
難燃性 UL94 V-0 厚みによらず自己消火性

PEEK樹脂の主な用途と採用事例

その信頼性の高さから、PEEKは以下のような最先端分野で活躍しています。

  • 半導体製造装置: 洗浄工程の治具、ウェハキャリア(高純度・耐薬品性が重要)
  • 航空宇宙: 航空機のブラケット、エンジン周辺部品(軽量化による燃費向上)
  • 医療機器: 手術器具、歯科用パーツ、インプラント(生体適合性・滅菌耐性)
  • 自動車: トランスミッション用シールリング、ベアリング、ギア(耐熱・耐摩耗)
  • エネルギー: 石油・ガス掘削装置のシール材(高温高圧環境への対応)

PEEK樹脂のバリエーション

用途に合わせて、最適なグレードを選択することが重要です。

1.分子量による違い

高粘度(高分子量): 押し出し成形や、耐衝撃性・耐疲労性が求められる部品に。
低粘度(低分子量): 薄肉の射出成形や、複雑な形状の成形に。

2.形状による違い

ペレット: 一般的な射出成形・押出成形用。
パウダー: コンパウンド原料、コーティング用途、3Dプリンター(SLS方式)など。

3.コンパウンド(複合樹脂)

GF(ガラス繊維)/ CF(炭素繊維)強化: 強度と剛性を大幅にアップ。
摺動グレード: PTFEやグラファイトを配合し、摩擦係数を低減。

最後に

PEEK樹脂は非常に高性能ですが、その分コストも高く、適切なグレード選定がプロジェクトの成否を分けます。

株式会社アークプラスでは、炭素繊維チョップやPTFE、各種添加剤の取り扱い知見を活かし、単なる樹脂の販売だけでなく、特定の機能を付加したコンパウンド提案も得意としております。

「金属からPEEKへ代替したいが、どのグレードが良いか」
「海外メーカー品を含めてコストを最適化したい」
「サステナブルの観点からも検討したい」
といったご要望がございましたらお気軽にご相談ください。

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