繊維系フィラーの種類と選び方|CF・GF・アラミド・バサルト繊維の比較

技術情報

「強化繊維はとにかくカーボン(CF)が最強では?」——実際の材料選定はそう単純ではありません。
CF・GF・アラミド・バサルトのそれぞれに得意な領域があり、コスト・成形性・機能要件によって最適解は異なります。
このページでは4種類の繊維系フィラーの特性を横並びで整理し、用途に応じた選定の考え方を解説します。

炭素繊維・ガラス繊維・アラミド繊維・バサルト繊維の特性を整理。コンパウンド材料の繊維選定で迷ったときの比較ガイド。

 
CF
炭素繊維 / Carbon Fiber

比強度・比剛性が最高クラス。軽さと剛性が最優先の用途に

高強度 高剛性 軽量 導電性あり GFより高コスト 切削工具摩耗大

炭素繊維の最大の特徴は比強度・比剛性(重量あたりの強度・剛性)の高さです。LEHVOSSのLUVOCOM CFコンパウンドでは引張強度最大425 MPa・弾性率最大52 GPaを達成しており、アルミニウムの比弾性率を上回るとされています。

通常のCFコンパウンドと比較した重量削減は最大30%、低熱膨張・高熱伝導・高寸法安定性も兼ね備えるため、金属代替部品や複合材(CFRP・GFRP)の代替として幅広い用途で採用が進んでいます。電気的に導電性を持つため、EMIシールドや帯電防止が要求される筐体・ブラケット類にも有効です。

複合材料の形態は短繊維(チョップドCF)・長繊維(LCF)・連続繊維(UD・織物)から選択でき、成形方法と要求特性に合わせて最適化が可能です。GFに比べると材料費は高くなりますが、加工費・組立工数の削減を含めたトータルコストでは優位に立てるケースも多く、性能重視の用途では最有力候補となります。

🎯 CFを選ぶべき用途

軽量化が性能・燃費に直結する構造部品、剛性が重要なロボットアーム・ドローンフレーム、EMIシールドが必要な筐体・ブラケット類

GF
ガラス繊維 / Glass Fiber

コストパフォーマンスに優れる汎用繊維。初めての金属代替に

低コスト 電気絶縁性 成形性良好 CFより重い 剛性はCF以下 アルカリに弱い

ガラス繊維は繊維強化プラスチック(FRP)の中で最も広く使われる汎用フィラーです。PA66/GF30%コンパウンドの引張強度は約190 MPaが一般的な水準で、同条件のCF30%品(約260 MPa)やXCF技術採用品(約310 MPa)と比べると、強度・剛性の差は明確です。

材料コストが低く、成形加工もしやすいため、汎用エンプラ(PA・PBT・PPなど)の強化材として幅広い産業で採用実績があります。電気的絶縁性を持つため、電装部品・コネクタ・ブレーカーハウジングなどに向いており、帯電防止機能やレーザー溶着対応の特殊グレードも存在します。

強度・剛性をさらに引き上げたい場合は、同じ成形プロセスで対応できるCFコンパウンドへのアップグレードが有効です。

🎯 GFを選ぶべき用途

コスト重視の汎用構造部品、電気絶縁が必要なコネクタ・スイッチ類、家電・OA機器・自動車内装の量産部品

AR
アラミド繊維 / Aramid Fiber

衝撃・振動に強い。靭性と耐摩耗性が問われる用途に

高衝撃強度 軽量 耐振動 圧縮強度やや低 吸水性あり 加工難

アラミド繊維は低比重・衝撃吸収性・摺動特性を持つ繊維で、アルミや青銅などのソフトな相手材との摺動において良好な特性を発揮します。

ただし繊維の縦軸に対して垂直方向の強度は比較的低く、構造部品への単独採用はCFより適用範囲が限られます。産業用途では、CFとアラミドを組み合わせたハイブリッドコンパウンドとして使われるケースが多く、CFの剛性にアラミドの靭性・摺動性を加える形で活用されます。

なお、材料コストはCFより高い水準にあります。吸水による寸法変化や加工時の工具摩耗(繊維がほつれやすい)にも注意が必要です。

🎯 アラミドを選ぶべき用途

衝撃・振動が繰り返し加わる部品、摺動・耐摩耗性が必要なギア・スライダー類、CF/アラミドハイブリッドによる剛性×靭性の両立

BS
バサルト繊維 / Basalt Fiber

玄武岩由来の不燃繊維。特定の腐食・高温環境向けのニッチ素材

不燃性 高耐熱・高電気抵抗 耐アルカリ性 高吸音性 実績はまだ少 GFより高コスト

バサルト(玄武岩)繊維は火山岩を溶融・紡糸して製造される繊維で、不燃性・高電気抵抗・耐アルカリ性を持ちます。剛性はガラス繊維と同等程度です。

コンパウンド材料としての採用実績はCF・GFに比べてまだ限られており、強度・剛性が主な要件であればCFが適切です。バサルトは不燃性や強アルカリ耐性が必須という特定条件下でのみ検討対象になります。

🎯 バサルトを選ぶべき用途

高温環境(200℃超)の構造部品、強酸・強アルカリにさらされる化学プラント部品、環境対応・リサイクル性を重視した製品設計

繊維系フィラー 特性比較早見表

比較項目 CF
炭素繊維
GF
ガラス繊維
アラミド
Kevlar等
バサルト
玄武岩繊維
引張強度(30%充填の目安) 260〜365 MPa 155〜190 MPa 同等〜やや高 GF同等
引張弾性率(剛性) ◎ 最高
衝撃強度(靭性) △ やや低 ◎ 最高
軽量性 ◎ 最軽量 △ 重め ◎ 軽量
耐熱性 ◎ 優秀 ○ 〜400℃ △ 低め ◎ 〜700℃
耐薬品性 △ アルカリ弱 ◎ アルカリ強
電気絶縁性 ✕ 導電性あり ◎ 絶縁 ◎ 絶縁 ◎ 絶縁
コスト 中〜高(GFより高め) 低い 高い(CF以上) 中程度
成形加工性 ◎ 最良 △ 工具摩耗
採用実績 ◎ 豊富 ◎ 豊富 ○ あり △ 少ない
不燃性 ◎ 不燃
摺動特性(相手材との相性) ○ 良好 ◎ アルミ・青銅と特に相性良

※ 評価は短繊維コンパウンドとしての一般的な傾向。樹脂ベース・配合量・グレードにより数値は大きく異なります。

まとめ:繊維選定のチェックポイント

  • 強度・剛性・軽量化を重視するなら → CF(炭素繊維)コンパウンドが最有力候補
  • コスト最優先・電気絶縁が必要 → GF(ガラス繊維)をファーストステップに(性能不足ならCFへ切り替えを)
  • 剛性に加えて靭性・摺動性も必要 → CF+アラミドのハイブリッドコンパウンドを検討
  • CFの導電性が問題になる場合 → GFまたはアラミドへ切り替え
  • 不燃性・強アルカリ耐性が絶対条件 → バサルト繊維(特定用途向けの選択肢)

繊維の種類だけでなく、配合率・繊維長(短繊維・長繊維・連続繊維)・ベース樹脂との組み合わせによって、最終的な物性は大きく変わります。「どの繊維が向いているか」という初期スクリーニングから、グレード選定・試作サポートまで、当社ではLEHVOSSグループのLUVOCOMをはじめとする各種繊維強化コンパウンドのご提案・サンプル手配に対応しています。

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