消防・SARヘルメット用 長繊維強化PA66
2026.10.7
2026.10.7
2026.10.7
製品紹介
消防・SAR(捜索救助)ヘルメットの外殻向けに開発された長ガラス繊維強化PA66「LUVOCOM LFT 1-8867GF07NT」の特長・物性・成形条件
消防、林業、捜索救助、製鉄所――。過酷な現場で使われるヘルメットの外殻には、衝撃に耐える強さと剛性に加えて、燃えにくさや、万一破損したときの安全性まで求められます。LEHVOSS社の「LUVOCOM LFT 1-8867GF07NT」は、こうした特殊ヘルメットの外殻用に開発された、PA66ベースの長ガラス繊維強化コンパウンドです。難燃剤に頼らずに燃焼性要求へ対応できる点が大きな特長で、この記事ではカタログと技術データシート(TDS)をもとに、その中身を整理します。
本グレードは、PA66(ポリアミド66)を長ガラス繊維で強化し、さらに耐衝撃性が出るよう靭性改質を施した材料です。TDS上の繊維含有量は30%、比重は1.35 g/cm³で、熱安定化されたナチュラル色(白)として供給されます。カタログでは「衝撃強度・引張強度・剛性のバランスが取れた特性」を特長としており、TDSの主な特長欄でも「強く、剛性が高く、耐衝撃性に優れた部品向け。特に動的な応力がかかる用途に適する」とされています。
ヘルメットの外殻では、強度と剛性だけでなく衝撃を吸収する力が重要です。TDSの代表値では、ノッチ付シャルピー衝撃強さが乾燥時30 kJ/m²、調湿時33 kJ/m²です。−30°Cでのノッチ付衝撃強さも27 kJ/m²と、常温の値から大きくは低下していません。一方で、PA66は吸湿すると剛性や強度が下がる性質があり、本グレードでも調湿状態(23°C/50%rh)では乾燥時より引張強度で約15%、剛性の目安となる曲げ弾性率で約27%低い値になっています(TDSの代表値から当社で算出)。設計時は、使用環境で想定される吸湿状態の値で検討することが大切です。
主な機械特性(TDS代表値)
| 項目 | 試験法 | 単位 | 乾燥時 | 調湿時 (23°C/50%rh) |
|---|---|---|---|---|
| 引張強度 | ISO 527 | MPa | 205 | 175 |
| 曲げ弾性率 | ISO 178 | GPa | 9 | 6.6 |
| シャルピー衝撃強さ(ノッチ付) | ISO 179 1eA | kJ/m² | 30 | 33 |
| シャルピー衝撃強さ(ノッチ付、−30°C) | ISO 179 1eA | kJ/m² | 27 | |
※ 本データはLEHVOSS社のPRELIMINARY(暫定)データシートに記載された代表値であり、保証値ではありません。
熱特性では、荷重たわみ温度(HDT A、ISO 75)が255°C、連続使用温度が110°C(20,000時間、IEC 60216)、寿命中の最大200時間までの短時間許容温度が150°Cとされています。高温にさらされる可能性のある現場で使うヘルメットでは、こうした耐熱性の目安は材料選定の出発点になります。ただし、ヘルメットとしての耐熱・耐炎性能は製品設計や適用規格の試験で確認する必要があります。
カタログでは、他の材料(例:PA66)と比べた本グレードの付加価値として、難燃剤(例:赤リン)を使用せずに燃焼性の要求事項を満たせることを挙げています。難燃剤が不要になることで、成形・使用・廃棄の各段階にメリットが生まれます。下表はカタログの記載内容を整理したものです。
カタログ記載の付加価値(難燃剤を添加した材料との比較)
| 観点 | 難燃剤を添加した材料で懸念される点 | LUVOCOM LFT 1-8867GF07NT |
|---|---|---|
| 燃焼性 | 難燃剤(赤リン等)の添加で対応 | 難燃剤を使わずに燃焼性要求を満たす |
| 金型 | 難燃剤に起因する金型腐食 | 難燃剤由来の金型腐食なし |
| 製造・使用時の安全性 | 有毒な難燃剤のアウトガス(高温多湿でホスフィン生成) | 製造時・使用時とも、難燃剤のアウトガスなし |
| 薄肉化 | — | 充填性が良く、肉厚の最適化が可能 |
| 破損時の安全性 | — | 損傷・亀裂時に隊員を傷つける破片が飛散しない |
| 塗装 | — | 塗装性が良好 |
| リサイクル | 難燃剤を含むため廃棄処分が必要になる場合がある | 難燃剤を含まず、リサイクル可能(廃棄処分不要) |
※ 燃焼性要求を満たすとの記載はカタログによるものです。TDS上のUL 94評価は1.6 mm厚でHB(括弧書きの参考値)で、ヘルメットに求められる燃焼性の規格・試験条件は用途や地域により異なるため、個別にご確認ください。
一般的な射出成形機で加工できますが、成形時の含水率は0.05%以下に管理する必要があります。超えると分子量低下や表面不良の原因になるため、成形直前に除湿乾燥機で予備乾燥を行います。また、ガラス繊維による摩耗が起こるため、シリンダとスクリューの摩耗対策も欠かせません。具体的な乾燥・成形条件はTDSに記載しています。お気軽にお問い合わせください。
ヘルメットの性能は、材料だけでなく部品設計との組み合わせで決まります。LEHVOSS社では、他のポリマーやフィラー含有量、カラーを変更したカスタマイズにも対応しています。アークプラスは日本代理店として、LUVOCOMシリーズのご提案から技術的なご相談まで承ります。用途や要求規格をお聞かせいただければ、最適なグレードをご提案します。
お問い合わせは、右記フォームからお願いいたします。